映日堂

ままならない日々のこと

呼吸が浅い、ただそれだけの話

わたしには、いわゆる躁鬱の気があるらしい。気分や体調の波が人より激しかったりする。程度は軽めだと思われるが、生活に支障が出るくらいではある。たまに病院に行っている。そんな感じだ。

数日前までひどく沈んでいたわたしは今、明らかな躁状態だ。気分が上向きになり、やりたいことをリストアップしたりしている。しゃべるときのテンションが明らかに高いことも自覚している。どちらもいつものことだ。元気ならいいじゃん、と思いたいけれど、自分でコントロールできないハイテンションもなかなかに地獄だったりする。

波が底から天井へ急上昇した時の症状として、今日新たに発見したものがある。「呼吸が浅くなる」ことだ。うまく息が吐けない、と言った方が正しいかもしれない。今までも同じ症状はよく現れていたが、タイミングまでは意識していなかったと思う(わたしのことをよく観察している夫には「今さら何言ってんの?」と思われるだろうけど)。

呼吸が浅くなると、身体が緊張状態になる。たぶん交感神経が優位になっているんだろう。活発に活動するために交感神経は大事な存在だけど、バランスが崩れて強くなりすぎるととても苦しい。緊張状態になって一番困るのは、食事が喉を通らなくなることだ。人は発表会とか試験とか、大きなプレッシャーのかかる場面などで「ごはんが喉を通らない」と言う。実際に食べられなかったりもする。で、わたしはこれが日常的に起きる。躁状態≒緊張状態だから、活動的になるのにエネルギーの摂取量はガクンと少なくなってしまうのだ。これがしんどいのなんの!

「なら、呼吸の浅さに気づいた時点でそれを修正すれば波にのまれずに済むのでは?」と考えたが、結論としてこれは難しそうだ。意識的にフーッと長く息を吐いてみたら、その時だけは少しラクに感じる。しかしその後の呼吸のリズムが整って楽になることはなく、また浅い呼吸に戻るだけだ。呼吸なんて無意識にすることの代表みたいなもんで、それを直接コントロールすることなど土台無理な話なのだ。

だから「躁状態になると呼吸が浅くなる」という事実に気づいたからといって、わたし自身にできることはあまりない。でも、自分について知ることそのものには少し意味があるんだと思う。「あ、今ものすごいスピードで躁に向かっているな」と自覚できたら、ごはんが食べられなくても、頭と身体を使いすぎてヘトヘトに疲れても、ある程度は「しょうがないか」と諦められるようになるのだ。残念ながらそれは理想で、現実の自分はそんなに物分かりが良くないけれど。

この文章を書き終えたら、ひとまず深呼吸しよう。その後のことはそれから。