映日堂

支店

身体の存在を思い出す

最近、数種類の薬を新たに服用し始めた。というのも、持病の経過が思わしくなく新しい病院に通い始めところ、イチからしっかりと治療していくことになったからだ。

しばらくは自分に合う薬を見つけるまでのトライアンドエラーが続く。まずは少量から飲み始めて少しずつ増やしていき、効き目や副作用を見ていくことになる。

数回の通院を経て、現時点では3種類ほどの薬を飲んでいる。どれも今の病院に通うまで飲んだことのないものだ。そしてしょうがないことなのだが、副作用がじわじわと出てきている気配がする。

症状は主にだるさやしびれ。明確に重い副作用が出ていないことにとりあえずは一安心だけど、それでも身体にいやな落ち着かなさがあるのがつらい。自分の身体なのにぼんやりと違和感がある状態、というのがなんとも気持ち悪いのだ。わたしは普段どんな姿勢で座っていたっけ、どんな姿勢で眠ろうとしていたっけ……そんなことすらわからなくなる。

こういうとき、いつも思い出す歌詞がある。BUMP OF CHICKEN「supernova」の冒頭部分だ。

熱が出たりすると 気付くんだ

僕には体があるって事

鼻が詰まったりすると 解るんだ

今まで呼吸をしていた事

歌詞の通りに熱が出たり鼻が詰まったときはもちろん、今みたいに身体がつらいときには必ず脳内で再生される。そしてその度に、本当にその通りだとしみじみ噛み締めている。

わたしたちは自分の身体とは生まれてから死ぬまで一時も離れることはないのに、ほとんどの時間その存在を忘れて過ごしている。強く意識させられるのは、何かしらの異常が起きたときだけだ。そのせいで「身体ってなんて煩わしいんだろう」と感じることも正直たくさんあった。今だってそうだ。

うまく眠れなくてへとへとに疲れているのに、身体がつらくてゆっくり休むことすらままならない。そんな現状をこの曲を思い出せたおかげでなんとか耐えているのかもしれない。改めて、これを言語化した藤原基央氏の偉大さに圧倒される。

それにしても、都合のいい生き物だなあ人間って。普段は静かに職務を全うしてくれている身体に、今後はもう少しだけ感謝を捧げたい。もちろん、その余裕ができてからの話だけれど。