映日堂

ままならない日々のこと

指が滑らかに動くには

文章を長く書かずにいた。するとどうなるか……答えは単純、「書けなくなる」だ。

わたしは学生時代、ピアノを習っていた。通う頻度は週に一度。課題曲をいくつか出されて、それを家で練習して次のレッスンで弾き、できていれば次に進むといった感じ。

ピアノを習っていたとき、よく言われていたことがある。「1日休むと3日弾かなかったのと同じくらい下手になるよ」。インパクトのある言葉だが、実体験から間違っていないとわかる。毎日弾かないと指の動きは明らかに悪くなるのだ(とはいえサボらず練習していたかは別の話)。

で、文章の話。少し前まではちょこちょこと何かしら書いていたけど、ここ最近はほぼ書いてなかった。ずっと書かなければと頭にあって、ついに先日重い腰を上げてキーボードを叩いてみた。すると出来上がったのはなんともひどいもの。いくらこねくり回してもどうにもならない代物だった。その文章の映る画面を見ると泣きそうになったし、もうわたしには書くことができないのかもなんて大袈裟に悲観的になったりした。

その文章は一旦寝かせて、今またこうして懲りずに書いている。それは、文章もピアノと同じで書いていない期間に鈍るのは当たり前だと気づいたからだ。上手い下手の話ではなく、ピアノを弾くときにどれだけ指が滑らかに動くかと同じく、どれだけ楽に自然に書けるかということ。

今はまだぎこちないわたしの書く筋肉。またぼちぼち動かして温めて、書くことがスムーズになることを願って。