映日堂

ままならない日々のこと

いつ来るともわからぬ機会に備えよ

「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」

録画した朝ドラ「カムカムエブリバディ」を観ていたら、こんなセリフが出てきた。

伴虚無蔵というキャラクターの決め台詞というか、何度か発する大事なセリフなんだけど、ドラマを観てた時はあまり気に留めていなかった。だけど後からふと思い出すタイミングがあって、この言葉が妙に今のわたしに響くなあと思ったのだ。

わたしは毎日文章と絵をかいている。でも実はどちらも、明確な目標というものがない。ただかきたいからかいている、といえばなんだか聞こえはいいけど、そんなかっこいいことじゃなくて。

文章も絵も、何か形になればいいなと思ってはいるんだけど、目指したいところがなかなか見つかってない状態なのだ。

今はとりあえず、文章は日記のようなエッセイのようなものを書いて、絵はラクガキやら人体の練習なんかをしている。

だけど、ゴールもなくただ日々かいていると、これをやって何になるんだろうと虚しい気分に苛まれる瞬間がある。どちらも一銭にもならないし、趣味と割り切るには苦しいことも多い。

そんなふうに悶々としているとき、「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」という言葉が頭をよぎったのだった。

今は目指すところが見つからなくても、いつか「こうなりたい」「これがやりたい」と思えるものが見つかるかもしれない。そんなとき、全く何の準備もしていない状態よりも日々鍛錬している状態の方が動き出しやすいに決まっている。

わたしが毎日文章や絵をかいているのは素振りのようなもので、いつか来る機会のために基礎力をつけているとしたら。意味がないと思っていた行為にも意味が生まれる気がする。

正直、機会が「いつ来るともわからぬ」のはちょっとつらい。先が見えないってやっぱり不安だし、本当にこの練習が意味をなす日が来るんだろうかと疑いたくなる日もある。

それでも今のわたしには素振りを繰り返す以外にできることがない。来たるべき時に備えて、今日も刀を振るおう。