映日堂

ままならない日々のこと

思わず愉快な小躍りを

「今日ね、自動車税の住所変更を済ませたんよ」

夜、ふとんに入ってあとは寝るだけのタイミングで夫に話しかける。

「電話するだけなのに妙にめんどくさくて、しばらく放置してたじゃん。だから終わったときは解放感がすごくて思わず小躍りしちゃった」

「そっか、ありがとね。確かに面倒だよね」

そう言ったあと、夫はふとスマホを手に取って何やら操作し始めた。

「どうしたの?」

「いや、ペットカメラに踊ってる姿が録画されてるかもと思って」

我が家には犬がいるため、リビングにはペットカメラを置いている。撮られた映像はしばらく残り、スマホアプリから確認することができるのだ。

なるほどそれは、見られたらおもしろそうだ。通話履歴からだいたいの時間を伝えて、録画を再生してもらう。

まず映ったのは、通話中のわたし。スマホを耳に当ててぺこぺこと頭を下げている。

「日本人だねえ」

「まったくの無意識だ……」

しばらくすると電話を切り、おもむろに立ち上がるわたし。そしてその場でぴょんこぴょんこと跳ね始めた。

カメラから見切れて映っていたのは下半身のみだったが、それでも伝わってくる溢れんばかりの喜び。体を動かすのが得意でないわたしのその動きは愉快で、ふとんの上で夫と2人腹を抱えて笑った。

見られる意識をしていない自分って、こんな感じなんだ。あいつ、思ってるより楽しそうに生きてるじゃん。

 

 

今週のお題「最近いちばん笑ったこと」