映日堂

支店

ドクターイエローとの邂逅

その日は妙にせかせかした気持ちでいた。

用事のために出かけようと車に乗り込んだタイミングでスマホに電話がかかってきた。間が悪いなあ、と思う。その対応をしているうちに出発が遅れた。遅れても問題はなかったのだけど、なぜだか少し焦っていた。

道中、前を走る車がゆっくり運転でイライラが募る。そのせいで信号にまでつかまってしまい、ああ今日はツイてないと思いながらブレーキを踏む。

 

すると直後、そこから見える山陽新幹線の路線に黄色い車体が現れた。

ドクターイエローだ!

人生で初めて見るそれはあっという間に走り抜けていったが、わたしの眼に強く焼きついた。

 

ドクターイエローが走り去った後もその余韻をかみしめると同時に、わたしは無駄にせかせかしていた自分を反省する気持ちが湧いてくるのを感じていた。

出発前に電話がなかったら、前の車がおらず信号につかまらなかったら、わたしは今日このタイミングでドクターイエローを目にできなかったはずだ。

純粋に「ラッキー!」と思える邂逅ではなかったが、それよりもずっとわたしの心にその存在が強く刻まれたように思う。この先、焦る気持ちがむくりと現れるたびにわたしはドクターイエローを思い出すだろう。